いよいよ設計打合せ
さて、実例見学会に通い、写真や切り抜きのファイルも作成し準備が整いましたね。
では、いよいよ設計打合せに入ります。
どうですか? ワクワクしてますか?
席に着くと、事前に営業マンからリサーチされた計画内容をもとに皆さんのマイホームの土台となる設計図が用意されていることでしょう。
初めて見る設計図との対面。
今はまだラフではありますが今後はそれをもとに打合せを進めていくことになります。
建築の素人という自覚が大事
理想のマイホームを作るためには設計図が必要となります。
ここからは設計図を作成してくれるプロの設計者との共同作業となります。
きっと皆さんは打合せで設計者に様々な要望を出していくはずです。
でも、ちょっと待ってください。
まず、知っておいて欲しい大事な心構えがあります。
それは、「皆さんは施主でありながら建築の素人である」と自覚しておいて欲しいのです。
それを忘れ、言いたいことばかりを言ってプロを困らせていては理想のマイホームを完成させることはとても難しくなります。
施主はお金を払うが知識やノウハウがありません。スタッフはお金をいただくがその対価として知識やノウハウを与えてくれます。
あくまでひとつの家は施主とスタッフが協力しあって作り上げるものだと考えるようにしてください。そうすれば今後、全てが上手くいくと言っても過言ではないでしょう。
では、強力な助っ人である設計者と上手に付き合い、理想の設計図を完成させる方法をお伝えしていきますので参考にしてください。

設計者と上手に付き合う三つのコツ
ではどのように打ち合わせを進めていけばいいのか、その際のコツを三点挙げます。
1、「打ち合わせに入る前の準備(資料)をしっかり整えること。」
2、「プロである設計者からの提案を良く聞き最後は皆さんが決めること。」
3、「部分的なこだわりを持たず具体的すぎる要求を押し付けないこと。」
という三点です。では解説をしていきます。
打ち合わせに入る前の準備(資料)をしっかり整えること。
これについては以前のブログでお伝えした内容ですので大丈夫ですよね?
前回のブログ「これをやらずに設計を進めてはいけません!」を是非一読ください。
プロである設計者からの提案を良く聞いて最後は皆さんが決めること。
準備段階で皆さんが用意した資料を設計者に渡し、要望を出す時の姿勢として注意しないといけない事があります。
それは、「こうしてください」ではなく「こうするにはどうすればいいか?」と質問し、設計者から何かしらの提案を引き出すように話す事です。
プロの設計者は数々の物件を計画し、そのノウハウを持っていますので、何か要望を受けたときには即座にふわっとしたプランが頭の中に浮かんでいます。
そのプランは最終的に図面に落とし込むのですがもちろん全体のバランス計画を熟慮した上で落とし込みます。
もし皆さんが「こうしてください」と強く要望を出せば自由度が減り、せっかくプロが関わっているのにそのノウハウを活かせなくなります。
「こうするにはどうすればいいか?」と聞けば「そのような要望を叶えるのであれば、このようなパターンもありますよ。」という具合に皆さんの要望を活かしながら他にも素敵なアイデアを提示してくれることもあります。
設計者が提案してくれたアイデアの中から皆さんが気に入ったものを選択して決めていくようにすれば間違いはないでしょう。
部分的なこだわりを持たず具体的すぎる要求を押し付けないこと。
特に避けなければいけないことは、寸法を用いて細かな指示を出すことです。
そうしてしまうと、それだけに条件を縛られて、全体的なバランス調整が難しくなります。
例えば、「アイアン調の棚を設置したいのですがどうすればいいでしょうか」という要望ならいいのですが「ここに奥行32センチ×巾63センチのアイアン棚を床から65センチの高さに設置したい」と言われてしまうと、以後、あくまでそれありきでその他の部分を計画していかなければならなくなってしまいます。
棚がもう少し短ければ窓をもっと大きく取れたのに、と設計者がせっかく気づいたとしても、皆さんの優先順位が棚の寸法だと言われていたら、別の方法を提案することを諦めてしまいます。
そんな風に、皆さんが、一部分にやたらとこだわりを持つと良い結果は生まれません。
ましてや戸建住宅の空間スペースは限られてます。その小さなこだわりが、他の部分への悪い影響となる場合があるのです。
人によって価値観が違うので、それでもいいと言うのなら、それ以上の忠告はいたしませんが、私の経験からしてそのようなやり方はあまりお勧めできません。
全体の明確なイメージだけを伝えて、ある程度はプロに任せた方が結果的にうまくいくことが多いと知ってください。
誤解があってはいけないので説明すると、皆さんの望む理想のマイホームに少しでも近づけるための手段として、コツを知っていた方がきっとうまくいきますよという意味で書いています。
決して設計者の好き勝手にやらせてあげてくださいという意味ではありませんのでお間違いなく。

理想を削っていく作業
これから話す内容は大きな夢を託そうとしている皆さんには少し辛い話になるかもしれませんが重要な事なので書いていきますね。
まず最初は遠慮せず、皆さんの理想を全て詰め込んだマイホームを要望し提案してもらってください。
例えばビルトインガレージや石張りの壁、大きなテラスやバルコニー、電動シャッターなどを盛り込んでもいいと思います。
そして再見積もりを提出してもらいましょう。
そして、次は、皆さんの予算に照らし合わせ理想と現実を精査しながら順次削っていく作業を行いましょう。
その設備は本当に必要なのか、皆さんの将来の生活やライフパターンを目一杯イメージして、不要だと判断すれば削除していきます。
ただ、削るものとしては、譲れるものと譲れないものがあると思いますので全体のバランスも見ながら良く考えて精査をしてください。
この作業は、描いた理想が現実的になっていくので辛いとは思いますが、皆さんにとっては一番効率的で理にかなった方法です。
ここまでは予算を度外視して理想のみを追求していた皆さんが、ここからはしっかりと現実を見据えて、なぜそれが採用できないのかをきちんと理解した上で取捨選択をし、予算に近づけることができるのです。
この方法を取れば、完成した後になってから「あー、何であの設備をつけておかなかったんだろう」などと無駄な後悔をしなくて済むので効果的です。
最後に、設計者の資格について一言
少し余談ですが、皆さんが誤解していること、つまり、気にしなくていいことがあるのでお話ししておきます。
建築士の資格には「一級建築士」と「二級建築士」がありますよね。
よく、自分の家は絶対に一級建築士に設計してもらいたいと言う人がいます。
監督の立場から言わせていただくと、ハウスメーカーでの設計業務内容はどちらもまったく同じことをやっていますし、法的にも戸建て住宅の設計であればどちらの資格でも問題なく設計業務をすることができます。
マンションや商業施設などの大型建築であれば一級建築士でないと設計してはいけないことが決まっています。
ただ現実的には、ハウスメーカーだけで生計を立ててきた一級建築士に大型建築を設計するよう依頼をしたとしても、そのノウハウはどこにもなく実務的な設計はまずできないでしょう。
ハウスメーカーで長年やっていればハウスメーカーに特化した設計者となり、そこには一級と二級の区別はなく、みんなが同じように経験を重ね常に技術やセンスを磨いているのです。
もちろん一級建築士という難易度の高い資格をクリアしたということは、優秀な努力家であることに間違いはないはずです。
でも、住宅設計者に求められるスキルは、努力家であるよりも、むしろ皆さんの意見に常に寄り添い、時には驚くようないいアイデアをどれだけ提供できるかということなのです。
皆さんの中にはその辺りの誤解や思い込みを持っている方が多いようですが、設計者の資格についての極端なこだわりを持つことは必ずしもいい結果を招くわけではないことを知ってください。
実は経験値がとても高くデザインに定評のある設計者が、二級建築士だという理由だけで設計者の変更をメーカーに要求してしまえば、本当にもったいないことをしたことになります。
心配であれば本人に過去にどんな設計をしたのか実例を見せてもらってください。
そうすれば皆さんのイメージを実現できる力量がある人なのか判断できると思いますよ。
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