【HM現場監督教本】人はどうすれば動いてくれるか。

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コラム
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人はどうすれば動いてくれるか。【はじめに】

こんにちは。

【HM現場監督教本】はゼネコンの現場監督を7年、ハウスメーカーの現場監督を15年経験した私が今後の建設業を担うあなたに伝えたいことを書き綴るシリーズです。

かつて私も地図に残る仕事をしたい、たくさんの幸せを作りたいと夢を持って建設業に足を踏み入れた若者のうちの一人でした。

しかし、最初のうちは人に指示をすることや、人を動かすことの難しさに悩む日々でした。

現場監督という役割上、それを避けては仕事にならないぐらい基本的なスキルなのにそれさえもできない自分に苛立っていたことを思い出します。

いつしかその壁を乗り越えられなかった同僚たちが次々と違う職に転職して行ってしまい、残された自分もいつまでこの業界にいられるのか不安を抱えるばかりでした。

そして今。私はHM現場監督としてたくさんの人の家づくりのお手伝いをさせてもらっています。

仕事のプレッシャーもかつては自分を潰してしまうくらいの圧力だったのが、今は心地のいい緊張感と言えば良いでしょうか、精神を蝕むほどのことは全くなくなりました。

私が他の人と違ったのはただ一つ。仕事をやめなかったことです。

ただがむしゃらに突き進んできたという表現が一番近いような気がします。

がむしゃらに進んでいると色々と見えてくるものがあります。

見えてきたものをこの記事に書き落としておきます。

それは現場監督だけでなく、人を動かす仕事に就いている方に伝えたいメッセージです。

この記事を読み終わった後、もしかしたら今まで考えもしなかった、あなたなりのアイデアに出会えるかもしれません。

現場監督を諦めようとしているあなた。

ぜひ最後まで読んでみてください。

北風と太陽

私が人に対して指示を出すときはイソップ物語の「北風と太陽」を意識しています。

ストーリー

旅人のコートを脱がせた方が勝ちというルール。北風がびゅうびゅう風を起こしてコートを吹き飛ばそうと頑張るが、かえって旅人は寒さでこごえ、さらにはコートを吹き飛ばされまいとしっかり掴んでしまいます。次に太陽が真夏のような暑さを与えると旅人は暑い暑いと言ってコートどころかシャツもズボンも脱ぎ捨てていったという物語。

この物語でいうと北風のように強い口調で「あれをやれ、これをやれ」と言えば、必ず反発を生みます。

逆に太陽のように、自らの意思で服を脱がせるように仕向けてあげると人は喜んでその業務を成し遂げようとしてくれます。

なのでイソップ物語の太陽は人を動かすために大変重要な役割を果たすということをまずは理解しなければなりません。

一言で太陽のような役割と言っても抽象的すぎて経験が浅い方にとってはどういうことかさっぱり分からないと思います。

次からその具体的な内容をお伝えしていきましょう。

感情を操作する

あなたが催眠術師であれば人の感情を操作することはたやすいかも知れません。

しかし、仕事の上で催眠術をかけるのは難しいでしょう。

まず結論を言ってしまうと人の感情を操作することは不可能です。

ただ、自分の感情が向いている方向に相手の感情を引っ張っていくことは可能だと考えています。

もし、相手が自分と同じ方向に感情を向けてくれたのであれば、あなたの指示する内容に同調し相手から同意を得ることが容易になるでしょう。

同意を得られたのであれば後は役割分担をはっきりさせるだけです。

あなたはそれを指示する人となり、相手はそれをする人となるのです。

そして作業が終わった頃にはお互いが仕事を成し遂げた満足感を得て、また一緒に仕事をすることを約束することになります。

ここで伝えたいことは何か。

それは、相手にやって欲しいことを表面的な指示のみで伝えてはダメだということ。

なぜそれをして欲しいのか、それをすることで私たちにはどんなメリットがあるのかというところまで掘り下げて相手の感情に訴える必要があるのです。

自分のキャラクターを決めつけない

相手の感情を同じ方向に向かせるためには強い率先力が必要と思う方もいるかも知れません。

でも、若い現場監督には人を惹きつけるような話術も、唸らせるような知識も持ち合わせていないのが一般的です。

率先力をすでに持ち合わせているなら人を動かすことが難しいと悩みもしないはずです。

でも安心してください。

そんなスキルがなくても大丈夫な方法を紹介しましょう。

それは相手の感情を動かすのではなく、自分が相手の感情と同じ方向を向くというやり方です。

全く別方向にベクトルが向いているのであれば、あなたが相手の感情のベクトルに合わせていきましょう。

そして寄り添いながらあなたの持っていきたい方向にベクトルを軌道修正をしていくのです。

どうですか?いい方法でしょう?

ただし、この方法を使うには一つ捨てなければならないものがあります。

それはあなたのキャラクターです。

なぜならキャラクターにこだわってしまうと柔軟に相手の感情にベクトルを合わせられなくなってしまうからです。

ポジティブに考えるのであれば多様なキャラクターを使いこなして相手の感情をコントロールしていく方法を身につけるとも言えますよね。

人に小さな夢を語れるか?

人を動かす、人に指示を出す。そのためには方向性を示す必要があります。

方向性が示されてないと、いざ動きたくても動けませんよね。

まずは方向性を示して明確な目標を立て相手と共有することからスタートなのです。

そこまではなんとなく分かると思いますが難しいのは目標を共有すること。

人はそれぞれの考え方があって、性格もバラバラ、立場も違う。

ではどうやって一つの目標を共有するのか。

それはあなたが小さな夢を語ることです。

だんだん胡散臭くなってきているって言わないで欲しい。

本気で言ってます。

小さな夢を語るっていうのは、言い替えればあなたの望みを相手に発表するってこと。

その望みが相手にとって共有できるものなのかどうか審査を受けなければならないのです。

つまりあなたと相手の望みがより近いものであれば一つの目標を共有できていることになっていると言えるでしょう。

例えば相手がタイル屋さんだったら、監督に「図面でこのように指示されているから手間はかかるけど、この納まりで進めてください。」って言われるより

「タイルの割付をこうすると、いくつか加工をしないといけない部分が増えるので余分に手間がかかってしまうけど、そうすることで部屋全体のバランスからしても収まりの面からしてもきれいにいきそうです。頑張った分、きっとお客様も喜んでくれると思うんですよね。」

って言われたほうがやる気になりますよね。

押してダメなら引いてみろ

いくら相手とベクトルを合わせようとしてもなかなか共調をしてくれない相手がいたとします。

相手はそもそも共調する空気そのものを嫌うタイプなのかも知れません。

つまり、人に言われたことに対してまず反発・反論をしてしまったり、もしくは追われると逃げたくなるのでしょう。

そのような相手に対してはぐいぐい押しても同極の磁石のようなもので一向に話は進みません。

次の一手としては「押してダメならスっと引いてみる」のはどうでしょう。

「そっか、あなたならやってくれると見込んでの頼みだったんですが。仕方がない、では他の人に頼んでみます。」みたいに。

相手は天邪鬼なので急に引かれると逆にぐっと距離を詰めようと動いてしまいます。

それが相手にとっての反発なのです。

「ちょっと待てよ。話ぐらい聞いてやってもいいぞ。」となればシメたもんです。

次につなげる為のフォローアップをしよう

初めて会った相手に対してはなかなか頼み辛いことも、顔馴染みになってしまえば頼みやすくなります。

頼みやすくなったのはお互いに以前の仕事が成功体験となっているからです。

成功体験を積み重ねることはもちろん、成功体験をした後のフォローアップを丁寧に行うことも重要です。

指示した内容をきちんと終わらせてもらった時には心から感謝の念を伝えましょう。

この人との仕事ならまたやってあげたいなと思ってもらうのです。

それは人間誰しも感謝してくれる人のために動きたいと思う感情があるからです。

一つアクションを加えるとするならば相手がオンリーワンだと強調すると良いでしょう。

「あの場面は〇〇さんじゃなきゃ上手くいかなかったです。助かりました。」と。

簡単に動いてくれないのは当たり前

仕事はどんな場面も人との関係で成り立っています。

人には感情があります。

簡単に動かせると思ってはいけません。

感情を押さえつける方法があるとすれば強い圧力が伴った命令です。

それこそヒトラーのような強権独裁政治くらいの圧力があれば感情は死に絶えるでしょう。

あなたがヒトラーでない限り、相手が動いてくれないのは当たり前と思えばいいのです。

若い監督が陥りやすい過ちは強い命令で相手の感情を押さえつけようとすることです。

そんなことをすればかえって逆効果なことはお分かりいただけましたよね。

もしもその場は命令に従ってくれたとしてもその相手との次の仕事に生かすことは不可能です。

まずは相手と同じ目線に立つこと。

そして自分の腹の内を見せること。

それが土台となり、その土台がなければ人を動かすことなんてできません。

私も昔は若いと舐められてしまうことが嫌で強い口調で相手を威嚇したり攻撃したりしてました。

でもそれは間違いだったと今は言えます。

人に命令できる人なんていないのです。

相手を尊重し、目標を共有し、それぞれの置かれている立場を役割と割り切って演じる。

そうすれば、それがいい仕事につながるのではないでしょうか。

最後に

いかがでしたでしょうか?

少し倫理的な話に聞こえたかも知れません。

しかし私が長年の経験で得た、人を動かす方法はこれだったのです。

しいて言えば「相手を動かす」というより「感情を持った相手を誘導する」という方がしっくりくるかも知れません。

言い方ひとつで誘導する力は変わります。

この記事で書いた考え方を心の隅に置いて仕事に取り組んでみてください。

周りの人たちのあなたへの態度が少しでも変わったと思うことがあれば、効果があったということです。

ぜひあなたなりにアレンジをしながらいずれ自分のものにしてより良い仕事環境を整えていきましょう。

今回はここまでといたします。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

 

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