はじめに
建設業に限らず、ものを製作する技術士たちのことを『職人』と呼びます。
まさに手に職をつけた人たちのことです。
特に建設業界においては、職人の仕事無くしては成り立ちません。
つまり職人さんはものづくりを支えるスペシャリストであり、尊敬されるべき人たちなのです。
ただ残念なことに、一般の方々が考える建設業の職人像と現実の職人の姿にはギャップがあるように感じています。
近年、建設業への就職希望者が少ない理由も、世間の誤解された職人象のせいではないかと推測しています。
世間一般の人たちは建設現場はヤンキー上がりの不良か刑務所帰りの日雇い労働者が働くところだ。
くらいに考えていませんでしょうか?
少し表現がきついように聞こえるかも知れませんが「勉強しないとああなるぞ」と未だに後ろ指を差されることがあるのが現状。
もしそう思っているのであればそれは完全に偏見ですので今すぐに改めてください。
一度でも施主になって現場を見学すると分かると思いますが、現場で働く職人さんたちは紳士的で物腰も柔らかで丁寧な態度の方がほとんどです。
この記事では現場監督として見た優秀な職人さんってどんな人かを紹介します。
合わせて、少しでも職人さんに対する偏見をなくしていただけたら幸いです。
ぜひ最後まで読んでください。
職人の仕事 職種編
まずは家づくりの仕事の中で、職人たちが活躍している職種には何があるのかを知りましょう。
- 杭打ち工
- 基礎工
- コンクリート工
- 左官工
- 足場工
- 建て方工
- 屋根工
- 防水・シーリング工
- 内装工
- 大工
- クロス工
- 床工
- 住設工(ユニットバス・キッチン)
- 電気工
- 水道工
- カーテン工
- 清掃工
- 補修工
- 外構工
そして、任された工事を責任感を持ってしっかりと最後まで作業を行ってくれます。
一人でも手を抜いたら出来上がった建物に不具合が生じてしまうからです。
これらの技術や知識は簡単に身につくものではありません。
先輩や親方に教えてもらい、時間をかけて努力し、一人前と呼ばれる職人に成長をしていくのです。
職人の仕事 作業編
ハウスメーカーの場合、仕事の依頼の流れは以下の通りです。
⇩依頼
⇩依頼
各工種ごとに管理会社があり、職人は管理会社と協定を結んでいます。
そして管理会社から依頼される形で職人さん各々が仕事を受けます。
依頼された仕事には決められた工期があり、その間に仕事を終わらせるように段取りを組むのです。
もし間に合わなかったりトラブルがあった場合は、次の工事の依頼がもらえなくなる可能性もあるので、慎重に、また計画的に作業を進めていきます。
一邸ごとに無事完了したら管理会社から報酬が支払われるという仕組みです。
しかし、仕事をただ単に図面を見ながら仕上げて終わりかと言われるとそうではありません。
職人の仕事はそんなに単純なものではないからです。
技術的な部分で言うと品質だけでなく、現場の安全管理や近隣配慮、他工事の職人との調整など、最前線に立つ人間として求められることがとても多いのです。
そんなプレッシャーの中、毎日現場に出て仕事をする姿には現場監督としては本当に心から頭が下がる思いなのです。
職人の仕事 能力編
現場監督の私から見ると、職人に必要な能力は3点あります。
それは技術力・協調性・コミュニケーション力です。
職人に必要な能力① 技術力
技術力は専門分野の施工を安定した品質で仕上げるために必要なものです。
ただし、ここでいう技術力は施工品質だけではなく施工の丁寧さや安全対策なども含まれています。
また、自身の体調管理も技術の一つと言えるのではないでしょうか。
なぜなら常に最高のパフォーマンスを発揮するためには自らの体調を整えていないといけないからです。
それが優秀な職人さんの日常なのです。
職人に必要な能力② 協調性
協調性についても重要です。
現在は協力し合う精神を持って現場を作ることが大事と理解されています。
戸建て住宅内での作業となると、一つの現場に他の作業をする多くの職人さんが入り混じってしまうことが良くあります。
そうすると譲り合いや助け合いがなければお互いにスムーズに作業が進みません。
そんな時に、他の職人さんのために材料を乱雑に置かないとか、明るい話題で仕事のしやすい雰囲気を作るなどの配慮ができる職人さんの存在は貴重なのです。
なので、今の時代に合わせて協調性を大切にする職人は優秀だと言えるでしょう。
職人に必要な能力③ コミュニケーション力
最後はコミュニケーション力です。
先ほど述べた協調性にも通じるところがありますが、ここでは施主様に向けてのコミュニケーションです。
戸建て住宅の場合は施主様は比較的熱心に現場を見学しに来られます。
なので職人さんと施主様が直接挨拶をし、会話を交わすシーンは珍しいことではありません。
せっかく施主が現場に足を運んでくれているのに挨拶もできない職人では現場全体の印象が悪く見えてしまいますよね。
もちろん職人たるもの自分の仕事に没頭していればそれでいいんだという考え方の業界もあります。
しかし戸建て住宅の場合はちょっと違います。
ビジネスの視点で考えればお金を出してくれるスポンサーは紛れもなく施主様です。
その施主様と会った時くらいはきちんと感謝の念を示すべきなのです。
そして、作業内容のことを説明をしたり、たまには雑談をしたりするくらいのコミュニケーション力があればいうことはありません。
私の考える優秀な職人
人を独断で判断できるほど私も賢者ではありません。
ただ、現場監督という立場から判断すれば優秀な職人像というものは確実に存在します。
先ほど述べた技術力・協調性・コミュニケーション力を持ち合わせている職人さんは優秀であると断言できます。
施主はもちろん、現場監督や管理会社からの信頼度はかなり高いはずです。
つまり信頼度をゲットできる職人こそが私の考える優秀な職人なのです。
例えば、品質は良くても柄が悪く挨拶もできない人、口達者だけど裏では他の職人に意地悪なことばかりやっている人、作業に没頭しすぎて現場の片付けや清掃を全然していない人などは、残念ながらまだまだ信頼にあたる職人とは言えません。
施主として現場を見るときはどんな職人さんが入っているのか是非確認してください。
- 体調も良く笑顔で元気があるか?(技術力)
- 道具を大切に使っているか?(技術力)
- 材料を丁寧に扱っているか?(技術力)
- 後片付け・清掃ができているか?(技術力)
- 他の人が作業をしやすいように現場が常に整理されているか?(協調性)
- 愚痴や悪口を言いながら仕事をしていないか?(協調性)
- 言葉づかいが丁寧か?(協調性)
- 衣服がだらしなくないか?(協調性)
- 挨拶やお礼ができているか?(コミュニケーション力)
- 施主の問いかけに対し安心を与える説明をしてくれるか?(コミュニケーション力)
まとめ
あなたの家づくりのお手伝いをしている職人さんはどうでしたでしょうか?
この記事で述べた「優秀な職人さん」に該当しましたか?
もしそうであったならば、次回会ったときはどうか感謝の言葉を伝えてあげてください。
私もそうですが、施主様からの「ありがとう」が何よりもやりがいにつながります。
優秀な職人さんが自ら優秀でありたいと願う、そのよりどころは何よりも施主様の幸せです。
常に施主様の喜ぶ顔を考えて仕事をしています。
職人の仕事は人の幸せを願う素敵な仕事。
今回の記事で、私がお伝えしたいことはただそれだけなのです。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
コメント