地盤改良工事について
地盤改良工事のことを知ろう
家作りで建物の基礎が土台だと考えている方が多いと思いますが、施工者側の立場からすると土台は地盤であると言い切れます。
なぜなら、ハウスメーカーがいくら壊れない構造の家を作ったとしてもその地盤が脆弱であれば建物は傾き地震に耐えることはできないからです。
つまり地盤が弱ければ、まずは強い地盤を作ることから始めなければならないということなのです。
そのために行う工事が地盤改良工事です。
たまに地中のことは目に見えない部分なので地盤改良工事は余分な費用のように思ってしまう方がいます。
しかしその考え方は浅はかであり危険だということを理解して欲しいのです。
地盤改良工事は誰がどのように判定するのか?
おそらくどのハウスメーカーも地盤調査を行います。その結果を元に判定し、適切な地盤改良工事は何かを導きだします。
地盤調査の方法は一般的にはスウェーデン式サウンディング調査とボーリング調査の二種類がありそれぞれを行います。
スウェーデン式サウンディング調査では地盤の硬さを、ボーリング調査では地中の土の質を調べます。
それらのデータを元に構造的に安定する地盤改良工事は何かを考察し判定します。
タイミングとしては、更地であれば敷地調査と共に行いますが、解体工事がある場合では解体完了後速やかに行われます。
施主はその判定結果を断れるのか?
ハウスメーカーからあなたの土地に必要な地盤改良工事はこれです、と掲示された時、施主としてそれを断ることができるのかというと、基本的にはできません。
極端な言い方をすれば、そこに施主の介入の余地はないと言っても過言ではないのです。
なぜならハウスメーカーとして建物の保証をするための絶対に必要な条件であるからです。
つまり、ハウスメーカーは自身で建物の保証ができる内容の地盤改良工事を提示します。
それ以下でもそれ以上でもなく適切な工法を選びます。
もちろん契約当初の予算計画から大きく外れるような考察結果であれば金額の交渉をしてもいいとは思いますが工法自体を変更する方向で話を進めるのは危険ですのでおやめください。
セカンドオピニオンの是非
どうしてもその考察結果が不安なのであればセカンドオピニオンに見てもらう方法もありますが、正直私はあまりおすすめしません。
なぜなら個人的にはセカンドオピニオンに絶対の信頼を寄せるのは危険だと思っているからです。
建物の保証をするのはハウスメーカーであってセカンドオピニオンではありません。
そもそもセカンドオピニオンはそのハウスメーカーの建物構造を完全に熟知しているのでしょうか?
そこに一貫性がなければセカンドオピニオンの判断に大した意味は見出せないないと私は考えるのです。
保証をしなければならない立場のハウスメーカーとしては、たとえセカンドオピニオンが違う工法を提案してきたとしてもそれに従うことはまずないでしょう。
地盤改良工事の種類
地盤改良工事は主に三種類の工法があります。
- 柱状改良工法
- 鋼管杭工法
- 表層改良工法
近年では柱状改良工法や鋼管杭工法も各ハウスメーカーオリジナルの改良を加えたものも出てきているようですので調べてみるといいでしょう。
ではそれぞれの特徴を見て行きましょう。
柱状改良工法
私の経験則からすると約8割の建物が柱状改良工法を採用しています。
もちろん山間部や海沿いなどの地域によりその割合は変化します。
地中の土とセメントを混ぜ合わせ直径45〜60センチの硬い土の柱を何本も地中に作ります。
硬い地盤までの距離が 2〜8メートルの範囲で採用できます。
ただし、地中で固化させないといけないので土質によっては採用できない場合があります。
鋼管杭工法
柱状改良工法の次に採用率の高いのが鋼管杭工法です。
柱状改良工法だと固化されない土質の場合に採用されます。
また、30メートルの長さまで施工可能です。
一般的に柱状改良工法よりも費用がやや高くなります。
表層改良工法
硬い地盤層までの距離が2メートル以内の場合に採用することがあります。
柱状改良工法と同様、セメントと土を混ぜ合わせて硬い地面を作ります。
柱状改良工法との違いは、建物下部全体を面状に改良することです。
専用重機を使用してデータ管理される他の工法と比べるとバックホウで土とセメントを混ぜ合わす作業なのでやや正確性に劣ります。
費用は比較的安いです。
地盤改良工事まとめ
近年、地盤改良工事でのデータ改ざんなどが騒がれ、一時期建設業界も騒然としたことがありました。
あのような大きな問題が起きるたびに管理方法の見直しや改善が大規模に行われます。
私の会社にも当然大きな影響がありました。つまり、施工管理に、より一層厳しい目が向けられていることは確かです。
そんな中において現存している大手ハウスメーカーの地盤改良工事は信頼に値するものとなっているだろうか?
答えはイエスです。
先程述べたように厳しい世相の目に晒されながらもここで手を抜くようなメーカーであればすでに淘汰されていてもおかしくはありません。
まずはメーカーへの信頼から始めてみることがいい建物を作る第一歩です。
そして知識を持ってマイホーム作りに取り組みましょう。
それでは今回はここまでといたします。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
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