はじめに
外構計画で、フェンスを選ぶ際にどれを選べばいいのか迷っている方が多いようです。
確かに何種類ものデザインがあるフェンスから一種類を選び出すのは至難の技ですよね。
でも、このブログに載っているフェンスの用途や考え方を知っていれば迷うことなく最適なフェンスを絞り込むことができます。
今回はフェンス選定の基本的な考え方をわかりやすくまとめました。
ぜひマイホーム作りの参考にしてください。
3種類の主なフェンスの用途
フェンスの用途 ①防犯
隣地や道路との境界線になる部分にフェンスを設置しますよね。
これは隣地や道路との境目を明確にする意味があるだけではなく、外部の人間がたやすく敷地内に入ってくることを防ぐためです。
ただ、実際には高さ1.2Mくらいのフェンスならば、ちょっとした踏み台があれば簡単に乗り越えられてしまいます。
しかし、そこにフェンスが存在すること自体が心理的な犯罪抑止効果となり、充分な効果的な役割をしてくれます。
物理的に人が乗り越えられないようにするのであれば、刑務所のような壁を作らないと無理ですからね。
注意点として、防犯の観点からフェンスを採用するのであれば、完全に中が見えないようなフェンスの採用は避けてください。
近所から完全に見えないように囲ってしまうと人目を気にせず作業ができるため不審者が犯行を犯しやすい条件が揃います。
ある程度、近所からの目が届く状況にしておくことが大切です。
フェンスの用途 ②プライバシー確保
プライバシーの確保をするために目隠しフェンスを採用する方が多いですよね。
これはもちろん外部から室内や庭などのプライベート空間を覗き込まれないようにすることを目的としています。
目隠しフェンスにはデザイン性が優れているものが多く、バリエーションも多いです。
しかし、一般のメッシュフェンスに比べるとコストが高いので、玄関扉の前やリビング窓の正面など必ず必要な部分だけに設置をするといいでしょう。
フェンスの用途 ③見栄え
更地に建物のみがポツンと立っていると心なしか寂しく感じませんか?
それは地面と建物の存在する空間の境目がぼんやりとしているからなのです。
地面と空間の間にフェンスの横ラインがきっちりと入ることによって全体の印象にシャープさが生まれます。
そうすると建物の姿が凛とし見栄えが良くなります。
見栄えの観点から言うとフェンスはあくまで裏方的な役割なのでシンプルなもので問題ありません。
しかし、実は建物全体の印象を左右する重要なアクセントとなるのであまり侮らない方が良いです。
材質や形状も様々なものがあります。
- 材質:樹脂製・木製・アルミ製・スチール製・鋳物
- 形状:格子状・ルーバー状・竹垣風
家の外観やサッシ色と合わせるなど、建物とデザインの整合を考慮し決めていくことをお勧めします。
フェンスの見た目が悪いと建物の印象が悪くなり、フェンスの見た目が良いと建物の見栄えがグッと良くなります。
これは今まで何百棟の建物を建ててきた私が言うので間違いありません。
フェンスの形状をどう選ぶ?
用途に応じた区分け
フェンスで家の印象が変わるのは確かです。
だからと言って値段の高い目隠しフェンスを敷地周り全体に採用する必要はありません。
検討の際には敷地の東西南北で用途の区分けをするという方法で決めるといいでしょう。
先ほどお伝えした用途ごとにフェンス形状を変えていけば無駄なコストをかけなくて済みます。
例えば
- 近所からよく見える正面側(例、北側)
- プライバシーを確保したい庭側(例、南側)
- その他(例、東側・西側)
のように区分けし、
1には少しコストはかかるが見栄えを重視したフェンス。
2には部分的に目隠しフェンス。
3には安価でシンプルなメッシュフェンス。
というようにすればいいのです。
注意するべき3つのポイント
フェンスで囲うということはその形状によっては外からの風通しを抑制してしまうことにもなりかねません。
日当たりの悪い場所などは風通しが必要なので基本的にはメッシュフェンスにしましょう。
目隠しフェンスの場合でも風を通すために板間に隙間を設けものや、ルーバーフェンスがあります。
また、半透明のパネル材にして日が入るようにすればフェンスの板材によって影を落とすことがないのでオススメです。
通常はコンクリートブロックに柱を立ててフェンスをつけるのですがコストや立地条件により独立基礎を使用する場合もあります。
独立基礎は柱の足元部分にのみ基礎がある形状です。
コンクリートブロックに立てるより比較的風圧に弱いので強風が常に吹くような立地条件のところでは採用を避けるのが無難です。
木製フェンスを採用する場合、経年で劣化をするため、数年おきに塗装を塗り替えるなどのメンテナンスが必要です。
放っておくと腐って倒壊の恐れもあるので危険です。
最近では木目調の樹脂材や人工木材であってもリアルな質感を再現しているので、見た目の安っぽさはありませんし、ほぼメンテナンスフリーなのでオススメです。
それでも木製フェンスがいいという方はきちんとメンテナンスできるかどうかを考えてから採用するようにしましょう。
フェンスを使った応用術
せっかくフェンスをつけるのですからそれを応用して楽しみましょう。
フェンス単独ではなくそこに植栽や照明を添えたり、かわいいブリキ看板や壁掛けの植栽を設置してみたらどうでしょうか?
メッシュフェンスにツタ状の植物を絡めるのもおしゃれに見えます。
プラスアルファを加えるとお庭が明るくなり、見ているだけでも楽しめる庭が出来上がります。
ガーデニングのアクセントとして、背景となるフェンスを工夫してみてください。
フェンスの高さをどう決める?
フェンスと一言で言っても用途に応じて採用すべき種類や高さなどの考え方が全く違います。
高さを決めるときの考え方を次にまとめます。
防犯を重視する場合
一般的には隣地や道路の地面からの高さが1.2M程度あればいいです。
それ以上高くしてもほとんど効果はありません。
ですが、フェンスがあるかないかでは大きく印象が異なり犯罪抑止効果につながります。
つまり防犯面から考えるとフェンスの高さの問題よりも、適切な位置にフェンスを設置することの方が意味合いは大きいということなのです。
プライバシーを重視する場合
プライバシーを守るということは外部からの視線を遮ることが目的となります。
しかし、だからと言ってリビングの窓の高さと同じ高さまで目隠しフェンスを立てればいいというわけではありません。
なぜならプライバシーを守るためにはこちらから外がどう見えるかということよりも、室内への視線はどこから注がれるのかということを中心に考えないといけないからです。
検討する際には家の周りの環境を調べてみましょう。
- 周りの住宅がどのくらい近接していて、住人からはどのように見えるか
- 隣地の家の窓やサッシの位置がどこにあり、室内からはどのように見えるか
- 近くに高層マンションがあり、そこからどのように見えるか
- 道路までの距離がどれくらいあり、通行人からはどのように見えるか
などが検討する要素です。
そして、実は目隠しフェンスで視線を遮るには限界があることも知っていてください。
フェンスでカバーできるのはおおよそ水平より下方からの視線です。
水平より上の視線をカットするには窓以上の高さのフェンスの設置が必要となってきます。
しかしそれをやろうとすると、2M・3Mなどの高さが必要になってきますし、そもそも室内への日の入りを遮ってしまいかねます。
これは現実的ではありませんよね。
なので外部からの視線を避けるためには目隠しフェンスで全てをカバーしようと考えないことです。
次のようなフェンス以外での方法も検討に入れるようにしましょう。
- 設計段階での建物の位置や向きの検討
- 窓の大きさの検討
- 高木などで視線をそらさせる工夫
- 室内のカーテンやスクリーンを利用して視線を避ける方法
おわりに
家の中で快適に過ごすには外からの視線を一切感じないプライベート空間を空間を作り出すことでしょうか。
私はそうは思いません。
室内から窓の外に見える風景を見て今日の天気を知り、季節を感じることも快適な生活には欠かせないことです。
そして外と内の調和を上手に保ってくれているのがフェンスなのです。
フェンスの特性と意味をよく理解して最も適したものを選択してください。
あなたのマイホームに素敵なお庭ができますように。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
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