監督が施主の信頼を得るためにするべき4つの考え方
はじめに
ハウスメーカーの現場監督の皆さん。こんにちは。
皆さんは現場監督をしていて何が一番大変な仕事って思っているのでしょうか。
現場の検査ですか?
事務処理業務ですか?
工事店との打ち合わせですか?
私が想像するには、施主との関係性に悩んでいる方が多いのではないかと考えます。
特にハウスメーカーの現場監督は技術職ではありますが、その業務の半分近くは施主対応です。
しかし、こればかりは経験がモノを言います。
たくさんの施主と会い、様々な困難を乗り越えていくことで苦手意識は薄れていくはずです。
ただ、それには何年もの経験を積み重ねることが条件となってきます。
せっかくこのブログにたどり着いたあなたには私が経験して得た4つのポイントをお伝えします。
すぐにこの考え方でやる必要はありません。
しかし、頭の片隅に今からお伝えする4つのポイントを置いてみてください。
施主との関係性をより良好に保つことができ、さらには仕事に楽しさを感じることもできるようになるでしょう。
①現場監督の立場をあなた自身が理解する。
施主から見た現場監督の立場。
施主は現場監督を頼りにしています。
だからこそ主張も強くなります。
なぜなら、施主は一生の中の大仕事としてマイホーム作りに専念しているから必死なのです。
何より家族を幸せにするために命がけでマイホーム作りを成功させないといけないと思っています。
例えば、皆さんに大切なお子様がいるとしましょう。
そのお子様が突然、命に関わるような大怪我をしたらどうしますか?
必死な思いで病院に連れて行き、医者になんとかこの子の命を救ってください!って嘆願しますよね。
その医者が命の灯火が消えかけている子供に対して賢明な措置を取らなかった場合、あなたは怒り狂うはずです。
怒りの源は期待を裏切られたことに対する憤りです。
現場監督の皆さんは施主に期待され頼られているんです。
だからこそ施主と真摯に向き合い理想のマイホームを作るために全力を注ぐことがあなたの最大の使命なんだと知ってください。
現場監督は工事の代表者。
現場監督は施主に対して軽はずみな発言をしてはいけません。
なぜなら、あなたの背後には工事に携わる数多くの人間が関わっていて、その人たちの協力の元に成り立っているからです。
そしてあなたはその代表者として施主との窓口に立つ役割を受けております。
工事関係者たちの意見を統括し、あなたが取りまとめ適切な言葉を選んで発信しなければいけません。
現場監督の言葉は施主に対しては、すでにあなた一人だけの言葉ではないのです。
不適切な言葉を使えばたちまち現場全体に対して施主から不信感を買い、真面目にやっている工事関係者の面目が保てません。
ですのでしっかりと冷静に全体を見ながら発言することが必要です。
②施主は怖くない。
苦手な施主ほど飛び込んでいけ。
現場監督をしていると様々な人たちと接することになります。
プライベートでは友達になれないと思う人ともお付き合いをしなければならないでしょう。
私は経験数が多いこともあって、今ではそのような方に年間一人か二人出会うくらいです。
その他大勢の方々に対しては問題なく接することができています。
人間なので気が合わない人は絶対にいます。
だからと言って避けていたら仕事ができません。
そのような施主と遭遇した時は放っておくとクレームになるので、思い切ってその人の懐の中に飛び込んで行くようにしています。
なぜなら相手から自分に対しパンチを打つには間合いの距離が必要だからです。
懐に飛び込み相手と自分の間合いの距離をゼロにすれば相手からパンチを受ける率は減るのです。
私が思う扱いにくい施主をいくつか挙げてみましょう。
- 日常から常に現場監督を見下しているような施主。
- 自分が思うことを全てタダで実現させようとする施主。
- 常に疑心暗鬼でこちらのやることを全て疑ってかかってくる施主。
- 気に入らないことがあると大声を出して怒鳴ってくる施主。
例えば、日常から現場監督を見下してくる施主に対しては、その思い込みを払拭するくらいの知識を会話の中で見せていく。また、堂々とした態度で接し仕事に誇りを持っていることをアピールする。
タダでやってくれとせがんでくる施主に対しては毅然とした態度で最初にお断りを入れる。そしてその理由をきちんと説明する。関係性を保つのであればできることは一つだけやってあげる。ただし、あなたのことを思ってやってあげるのだという態度を見せつける。
疑心暗鬼の施主の場合は連絡を密に取る。先回りして施主の不安を取り除くようなトークをする。安心感を与えることに全力を捧げる。
怒鳴ってくる施主に対しては怒鳴り返す。大丈夫です。施主だとしてもそこに礼節は必要です。関わっているのはビジネスの世界。こちらも真剣に仕事に取り組んでいることをわかってもらうためです。施主からのストレスを受け続けていればいい建物も出来上がりません。
このように相手に対して積極的に近づき、作戦を立て実行していくことがまずは苦手な施主と対等な立場を気付き上げる有効的な手段である。
是非、躊躇せず試してみて欲しい。
施主は神様ではない。
「お客様は神様です。」一昔前ならまかり通っていた言葉です。
でも過去の作れば売れる時代は終わり、現在では物づくりそのものに価値を求める傾向にあります。
なので現代ではお客様に対する考え方が変わってきているのが事実です。
また、少し極端な考え方を述べると家づくりにおいては契約前はお客様、契約後は施主です。
施主はもちろんお金を出す。しかし私たちはその対価として家を建ててあげてるのです。
施主の役割はスポンサー、私たちの役割は家づくりを具現化すること。
立場としては対等です。
その根本原理を忘れ、パワーバランスが崩れると物事がうまく進まなくなる。
特に家づくりにおいては、施主はいい建物を作るための仲間であると位置付けることが理想的です。
何かトラブルが起きたときには一緒に考えてもらい、一緒に解決へと進める。
もちろん私たちはプロですので、素人である施主を引っ張っていく立場を忘れてはいけない。
間違っても素人の施主に家づくりのことについて指図を受ける必要は全くないのです。
こんな例えはどうだろう。
ジムに行けばトレーナーというプロがいてトレーニングを受ける素人の私たちがいます。
トレーナーに対してもっとこういうトレーニングを取り入れた方が効果があるなどと指図をしている構図はあまり思い浮かばないですよね。
唯一、家づくりとジムに違いがあるとすれば、そこにかける金額の違いだけなのです。
施主は怖くない。
現場監督を始めた頃は施主との付き合い方に戸惑い怒られてしまうこともしばしばです。
なので、施主が怖いと思っている現場監督は少なくはありません。
それは今までそうだったように、また怒られるんではないか?という不安があるからです。
でもそれは違うんです。
ここまで述べてきた通り、施主は理想的なマイホームを建てるために必死になってあなたにすがってきている人です。
家族の幸せを叶えるという素晴らしい夢を持っているからこそです。
そんな人が怖い人であるはずがありません。
思い浮かべてみてください。
あなたの周りの大切な人がそのように頑張っていたら放っておけないでしょう?
ぜひその人のために力になろうと決めてください。
相手を怖いと思うから怖いのであって、それはあなたが勝手に決めているに過ぎないということを知ってください。
もっと言えば、あなたが施主の真剣さに圧倒されているだけなのです。
あなたもプロの現場監督なら施主に負けない真剣さで施主を圧倒させたらどうでしょうか?
③施主を安心させよう。
堂々とした態度をとる。
あなたは工事の代表者です。胸を張ってください。
あなたが胸を張らなければ現場の価値が下がって見えます。
態度は重要です。
不安そうな顔をしないでください。
現場監督がおどおどしていれば、施主も不安に思うのは当然です。
多少の問題が発生しても、堂々としていることで施主に安心感を与えます。
メモを取る。
現場で施主と話をする際はきちんとメモを取りましょう。
新入社員に伝えるような内容ではありますが意外とこれができていない人が多いようです。
記入したものはその場で写しを渡すか、後日書類にまとめ施主に郵送するなりメールを送るなりして確認をしてもらいましょう。
メモを取りながら聞いてくれているというだけで施主は安心感を覚えます。
ショートメールを活用する。
ショートメールなら携帯会社を選ばず誰でも使うことができるので便利です。
それに時間に縛られず伝えたい内容を送付できますし、文章が履歴に残ります。
施主からも携帯にダイレクトに連絡が来るのでレスポンスも早く対応できます。
電話ですと感情に左右されたり聞き逃しが生じたり時間を浪費します。
いいとこ取りのショートメールを活用しましょう。
ただし、高齢の方でショートメールでの連絡は失礼だという方がたまにおられます。
初見の時にそのメリットを述べた上でショートメールでよろしいですか?と確認を取りましょう。
工程ごとにここまで進みましたと連絡をすると安心してもらえます。
現場に足を運ばせよう。
工事が進むとどうしても施主と疎遠になる傾向があります。
現場監督も毎日現場にいるわけではないですし、施主も仕事や生活がありマイホームのことに構ってばかりもいられません。
工程が順調に進めば進むほど現場で施主と顔を合わせる機会はなくなっていきます。
ですが、現場監督と現場で会わないことに施主は不安を覚えていきます。
不安感はさらなる妄想に感化され膨らんでいき、思わぬクレームに発展することがあります。
現場監督が工程内の検査をきちんと行い現場を問題なく進めていたとしてもクレームが発生してしまうなんて理不尽ですよね。
でも施主の感情はそのようにできているから仕方がないのです。
それを回避する方法としては、定期的に現場に足を運ばせる仕組みを作るのがベストです。
地鎮祭の時に次に会う約束を取っておく。
約束通りに会えたらその場でその次の約束を取っておく。
常に現場監督と次に会う約束ができていることが施主の安心材料となります。
合わせて現場監督も施主との約束があることで少しは気が安まるのも事実です。
工事中は施主との定期的な約束を入れることが得策です。
④あなたがやれること。
マメであれ。
先ほど述べたように施主はあなたのことを頼りにしています。
家づくりに真剣な方ほど常にあなたの存在を側に感じていたいと思っています。
施主にとってはある意味「恋人」と同じです。
恋人であればマメに連絡をくれる人の方が好感を持たれることは知っていますよね。
だから施主に対してはマメであることが大事なのです。
正直であれ。
現場を進めていくと何かしらのトラブルに当たることはあります。
例えば現場で誰かがミスを犯した時、その状況を施主にどのように報告しますか?
施主に不快に思われないように体裁の良い嘘でごまかしていませんでしょうか。
私の場合は全てを正直に話し、その後の対応方法をご説明することに専念します。
その方が施主も理解を示してくれます。
最初からつまらない嘘をついていると辻褄が合わなくなりいずれバレます。
バレた時には完全に信頼を失うことになるでしょう。
施主はむしろ、起こったことに対してではなく、それに対するリカバリーに期待を示します。
だから常に正直であることが大切なのです。
前向きであれ。
施主の真剣さに圧倒されていては現場監督は務まりません。
施主からの要望に対し前向きに受け止める姿勢が重要です。
そしてその言葉の節々にあなたが喜んでくれるのならというニュアンスの言葉を挟みましょう。
また、現場監督から施主に対しての前向きなアクションも好印象です。
タイルの割付を確認して欲しいので現場に来てもらえませんか、とか、仏壇の寸法を念のため確認しておきたいので計らせてもらえませんかとか。
そのようなことを繰り返していればいつの間にか施主もあなたが前向きに自分のために動いてくれていると認識してくれることでしょう。
素直に謝れ。
施主に対して不利益な事柄が起こった場合、素直に謝りましょう。
これは現場監督だからというわけでもなく当たり前のことですよね。
謝ることはマイナスのイメージなので、しない方がいいという方がいますがとんでもないです。
謝罪は施主の期待に添えることができていない事実を詫びるためのものです。
まずきちんと謝り、きちんとご説明をしていくという順番を守ることが相手に誠実さを伝える方法なのです。
相手に誠実さが伝わったら次に伝えることは、その打開策や解決策の提案です。
謝罪と説明だけで終わってしまったら施主もどうしていいのか分からなくなってしまいます。
打開策や解決策の提案こそ現場監督としてのプロの力量が問われることになるのです。
謝罪はきちんと次の提案を考えてから臨むようにしましょう。
もし、それがうまくいけばマイナスイメージをプラスに転換させるチャンスとなるはずです。
まさにピンチはチャンス。
ここでの振る舞いがあなたが施主から信頼度を上げれるかどうかの分かれ道になります。
最後に
いくつかの項目に分けて施主との付き合い方のノウハウを書いてきました。
結局のところ、施主は素直に現場監督に期待をしていてシンプルに家族の幸せを願っているだけだということを理解していただけたでしょうか?
実はこのことは私が自分の家を建てた時、自らが施主の立場に立って初めて分かったことでもあります。
現場監督と施主が同じベクトルに向かって気持ちをそろえることが良い建物を作る重要な要素です。
現場監督のあなたは、是非今後そのような考え方で施主と向き合って信頼を得てみてはいかがでしょうか。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
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