設計打ち合わせの準備をしよう
今回はいよいよマイホームの設計の全体の流れやポイントについての話をしていきます。
最も時間や労力がかかり、ここで失敗すると取り返しのつかないことになる工程です。
で、ぜひ慎重に物事を進めてくださいね。
おそらく契約をする際に営業マンがラフの計画を既に立てていると思いますが、今後はその内容をしっかり詰めていく作業になります。
ハウスメーカーによっては、外注の設計会社に依頼をかける所もありますが、ほとんどは設計担当者が皆さんの担当者となり、今後の打合わせを進めていくことになります。
ここで、設計打ち合わせに入る前にいくつかのしておくべき準備がありますのでお伝えします。
これをしっかりやることで、無駄に時間と労力を使わずに設計担当との話を進めることができ、皆さんの目指す理想のマイホームに、より近い計画をしてもらうことができるようになります。
さて、ではどのような準備をした上で臨んだらいいのでしょうか。
全体的なイメージを固めよう
皆さんにとってマイホームのイメージはかなり漠然としているはずです。
でも、そのままでは設計者に伝えたいことを伝えられないまま打合せが進んでしまい、気がついたらお任せ状態になってしまいます。
それではせっかくの注文住宅の良さを生かせていないし本当の意味でのマイホーム作りとは言えなくなってしまいます。
皆さんが最初にやるべきことは全体的なイメージを固める作業です。
例えば和モダンテイストにしたいとかイタリアンテイストにしたいとか北欧テイストだとか、じゃあ外構はオープン外構なのかクローズ外構なのかとか、車は何台停める予定だとか…。
ざっくりでいいので建物と外構を含めた全体像のイメージを固めてください。
そのイメージが今後の主軸となります。
家族の代表者を決めて全員の意見をまとめておく
よくあるトラブルとして、家族内の意見が合わず方向性が定まらず、最悪な場合、喧嘩が始まります。
これは、明らかに準備不足です。
打合せは限られた時間の中で進めなければならないし、家族の意見が合わなければまた一からやり直しになることだってあります。
必ず代表者を一人決めて、事前に家族会議を開き、意見をまとめて打合せに臨みましょう。
次の打合せの議題が分からないのであれば担当の営業マンに聞いてその準備をするようにしましょう。
丸腰で臨むよりも、もっと実りある密な打ち合わせが出来るはずです。
現場監督の私は施主の連絡先については代表者一人の携帯番号だけしか聞かないようにしています。
ご主人からも奥さんからも指示があると、一致した内容であればいいのですが、違っていたりすると、どちらの意見を聞くべきかとりもつのも大変だし、いずれトラブルになるのは明確なことだからです。
皆さんもトラブルになりたくなければ家族の代表者をたてることが重要です。

資料集めをしましょう
全体的なイメージが固まったら次は資料集めをしましょう。
なぜか、イメージを口頭で伝えるのは大変難しいですよね。
素人の皆さんがプロの設計士に建築のことを伝えるんですから。
そこで役に立つのは写真や雑誌の切抜きです。
いいなと思った建物の外観や間取りを写真に撮り、打ち出してファイリングしておきましょう。
設計打合せの時にはそのファイルを直接見てもらうのです。
視覚的に同じものを見れば、そこに相違はないため間違いが起こりにくいのは明白ですよね。
たくさん撮りためた写真ファイルを見せて、こんなイメージのマイホームが欲しいですと伝えてください。
皆さんのこだわりたいところを伝える
次に皆さんがマイホームに対して何をこだわりたいか、絶対に必要なのは何かを明確にしてください。
その上で、妥協できるものとできないものをはっきりさせておいてください。
例えば、キッチン横にはパントリーを設けたいだとか土間収納を作りたいとか二階にセカンドリビングを作りたいとか、より具体的なものでいいです。
しかし、漠然と思い描いてもなかなかそのようなアイデアは出てこないと思います。
そんな時に役立つものがあります。
それは「実例見学会」です。

実例見学会に足を運ぼう
実例見学会に足を運ぶことはかなり有意義です。
どのハウスメーカーも定期的に新築住宅の実例見学会を行っています。
これはお引き渡し前に施主の許可を取って一般公開するイベントです。
とても役に立つので、マイホームを検討し始めたのであれば、近くでやっているところにすぐにでも足を運んでみてください。
何しろそこにある建物は、これから住む人のアイデアがぎっしりと詰まっています。
計画を始めようとしている皆さんにとってはいろいろな気づきが必ず散りばめられているはずなのですから。
実例見学会へ行く目的
一番最初は間取りのイメージを身につけるために行ってみてください。
この段階ではどのハウスメーカーの実例見学会に行っても役に立ちます。
自分の選んだハウスメーカーだけに絞っていく必要はありません。
なぜなら、奇抜なアイデアとか特殊な部材を採用するなんてことがない限り、間取りのセオリーは日本全国どのハウスメーカーであっても、実はほぼ一緒だからです。
まずは、数多くの実例見学会に行ってみましょう。
実例見学会でやること
実例見学会では、ただ、だらだらと見てまわるだけでなくできるだけ案内の人についてもらい、施主のこだわった部分はどこなのかを聞き出しましょう。
もし、家族構成も聞き出せたら皆さんの家族構成と照らし合わせて参考にするのも有益な方法だと思います。
よく、実例見学会で「この家は坪単価いくら?」と聞く人がいます。
あれはまったく意味のない質問です。
そもそもスタッフが金額を伝えることはできないし、建物形状や内装のランクによって坪単価は大きく変わってくるからです。
皆さんはそのような質問をしないようにしましょう。
実例見学会で仕上げの確認をしましょう
さて、設計打合せがある程度進んだ時にも、再度、実例見学会に足を運んでください。
その際の目的は部屋の広さや仕上げの確認です。
計画が進み、具体的な寸法が決まってくると頭の中でイメージが浮かぶようになります。
しかし、人間のイメージというのはとても曖昧で、間違えて空間を認識していることが多いようです。
その間違えを正す方法は、やはり出来上がったものを実際に見ることなのです。
例えばリビングの大きさを7m×5mに設計したら実例見学会でその大きさの部屋を探し、実際はどのような広さに感じるのか、実際に出来上がったらどのようなイメージになるのかを体感してください。
ぴったりの間取りがなかったとしても6m×5mがこの部屋の大きさなのであれば自分の家の間取りではあと1m奥行きがあるんだな、などと想像を膨らましてみる事もできるはずです。
そして最後に、設計打合せが終わる頃にも、もう一度足を運んでください。
その時は図面を持って皆さんが選んだハウスメーカーの実例見学会にいきましょう。
そこでは自分が採用した外壁や内装部材が使われていればその質感や使い勝手などを実際に確かめることができます。

モジュールの違いを知ってください
あと、これも重要な事なので知っていて欲しいのですが、各メーカーによって、基準となる「モジュール」があります。
「モジュール」とは設計をするにあたって基準となるグリッドのことで、このグリットのラインに準じて間仕切りなどが配置されます。
これが現在のハウスメーカーでは1m×1mのところと910mm×910mmのところがあります。
同じグリットで設計しても、「モジュール」の違うハウスメーカーの実例見学会で見たときに、トイレや階段、廊下の壁の幅などの広さが違って見えるので注意です。
またそれに伴い、和室の畳の大きさも各ハウスメーカーによって違います。
単純に8畳の部屋と言っても畳の数が8枚あるのには変わりないのですが一枚一枚の畳の大きさはそのグリッドに合わせて作られているので違うものだという事も知っておいてください。
天井の高さ設定もメーカーによって違います
それと基準の天井高さもハウスメーカーによって違います。
最近では天井をオプションで高くすることもできるようになってきています。
皆さんが選んだ天井高さが実際の建物ではどのような印象に見えるのか確認できるので実例見学会で確かめるのは有益だと思います。
お部屋の広さのイメージは建物工事が全て終わってからでないとはっきり分からないことなので、出来上がってから皆さんが後悔することがないように、事前にきちんと把握しておいてください。
ここまでお伝えしたような目的を持って最終的には自分の選んだハウスメーカーの見学会に出向き、部屋の広さの感覚を確認しておくことはとても重要なのです。
住宅展示場のモデルハウスは参考にならない
ちなみに住宅展示場のモデルハウスはまったく参考になりません。
モデルハウスは皆さんに家を買ってもらうために夢を見せることだけが目的で建てられたものなのです。
豪華な吹抜けやシャンデリアがあったり、中庭にビオトープがあったりしますが実際のお家では役に立たないものばかりです。
それにモデルハウスで使われている材料や素材は特注の品であることが多いです。
例えばモデルハウスで使われていた無垢のフロアが気に入ったからと採用したら簡単に予算オーバーになってしまったなんてことがあります。
まとめ
ここまで設計打合せ前の準備について解説してきました。
ここでどれだけ力を入れてリサーチしたかで完成した時の満足度が変わってきます。
特に実例見学会は大いに役に立ちますので必ず利用してください。
大変だと思いますがこの過程が一番大切な時期ですので頑張りましょう。
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