新築工事の施主支給。トラブルを避けるための最低限の知識まとめ。

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家づくりの準備
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はじめに

これから新築の計画を立てる方は少しでも安くコストを抑えたいと考えるでしょう。

その対策としてまず最初に上がるアイデアが『施主支給』です。

『施主支給』とは施主が材料を安く仕入れて現場へ届けることを言います。

しかし短絡的な考えで施主支給を採用したものの、結果的にトラブルに巻き込まれてしまう事例も多いようです。

この記事では施主支給を検討されている方がトラブルにならないために最低限知っておいていただきたい知識を載せました

是非最後まで読んでみてください。

施主支給を採用するメリット

実はハウスメーカーや工務店にとっては施主支給はあまり推奨されていません

なぜなら施主支給の提案を受けることによって施工側のメリットになることは何もないからです。

その上、扱い慣れていない施主支給品が要因となって思わぬトラブルを招くことがあります。

それでも施主が押し切って採用する理由は、施主にとってのメリットがあるからと言えます。

では最初に施主支給を採用した場合のメリットには何があるのかを見ていきましょう。

メリット①選択の自由度

ハウスメーカーや工務店で扱っている商品には指定品や扱えるメーカーが限られている場合が多く、自分が本当に取り付けたいものが選べない場合があります。

施主支給であれば施主の好きなデザインのものを自由に選択し用意したものをつけてもらうので、より理想のマイホームに近づけることができます。

メリット②コストカット

現在ネットショッピングの普及から定価より安く商品が手に入れることができるようになりました。

また、中古品やアウトレット品も選択できるので商品価格のコストカットにつながる場合があります。

メリット③再利用(思い出)

現在住んでいる住居に付属している設備や資材を移設すれば、商品自体の代金はかかりません。

また、今まで使っていた思い出のものを新しい家に残すことができます

施主支給を採用するデメリット

次に、施主支給を採用することにより考えられる施主にとってのデメリットもありますので見ていきましょう。

デメリット①保証問題

提供した施主支給品自体に問題があり、不具合が発生し、他の部分にも影響が波及した場合、他の部分の保証は誰の責任になるのでしょうか。

残念ながら全て施主支給をした施主側の責任になってしまいます。

商品を納めるということは例え自邸であっても自らが責任を持たなければなりません

そのようなリスクがあることを知っておきましょう。

また施主支給品が納入された場合は自ら検品をしておかなければいけません

傷や故障がないか、もしあった場合は商社に返品をする手配などもご自身でやらなければならないのです。

デメリット②手間がかかる

採用する施主支給品がどのような仕様であるかを設計者に事前に伝えなければなりません。

せっかく商品を仕入れても建物側がそれを受け入れる仕様で計画されていなければ、設置できないからです。

また、商品の選定をしたうえで仕入れ、いつのタイミングで現場に入れるのか、誰が受け取るのか、どこからどこまでを施工会社がやるのかなどの詳細な打ち合わせをしなければなりません

施主が専門知識を持っている場合であればさほど問題はないのですが、ほとんどの施主は商品知識もなく素人です。

素人が一からこれらの打合せや情報供与をすることは大変な手間となり負担は大きいのです

デメリット③本当にコストカットになっているのか?

施主支給をすると商品仕入額は下がり、コストカットになる場合があると述べました。

しかし、そこには施主支給品を取り付けるための施工費は入っておりません

ハウスメーカーや工務店が施主支給無しで最初に出してくる見積もりには『材工共』と書かれているものがあります。

これは材料費と施工費を合わせた金額という意味であり、全体の工事の流れの中でまとめて行うことで施工費は格安で設定されていることが多いです。

なので単純に施主支給品の価格と比べることはできません

施主自身がDIYで設置するのであれば別ですが、ほとんどの場合、施主支給品に対しては別途設置費がかかります。

施工費単独で見積もると、職人が施主支給品を設置するためだけの作業をする、という設定で手間代が見積もられてしまうため割高になる可能性が高いです。

それらを考慮してトータル的に本当に安くなるのかどうかを必ず検討しましょう

もしそれほど金額が変わらないのであれば施工会社に任せた方が間違いありません。

デメリット④住宅ローンの融資対象にならない

施主支給の場合、施主が直接仕入れ業者に商品の代金を支払います。

また大量に施主支給品を用意するのであれば運送費や保管料なども必要となり、割と出費がかさむ可能性があります。

それらの出費は住宅ローンの融資対象には含まれないことを知っておきましょう。

新築工事中というのは住宅購入の頭金を支払った後であり、普段の生活も一時的に楽な状態ではない場合が多いですよね。

そこにさらに輪をかけて施主支給にかかる費用が上乗せさせられることを考えると、資金計画でローンとは別枠で考えておかなければ大変なことになると想像できます。

施主支給に適しているもの

施主支給にはメリットだけではなくデメリットも多くあることは理解できましたでしょうか。

とはいえ、ある程度の知識と注意点を守ればそんなに怖がらなくても大丈夫です

トラブルを避けるためには施主支給品として適しているものは何かをまずは知っておきましょう。

では、比較的トラブルの少ない施主支給品とはどんなものがあるか。

これから検討される方へのアドバイスとして具体的にお伝えします。

①施主支給に適しているもの
  • 照明器具(シーリングタイプ)
  • エアコン
  • カーテン
  • タオル掛け・ペーパーホルダー・手すりなど金物類
  • ミラー
  • ポスト
②施主支給にまあまあ適しているもの
  • 防犯カメラ
  • シンク(洗面化粧台)・手洗い鉢
  • トイレ
  • 棚板・飾り棚
逆に適さないものもあります。
①施主支給に適さないもの
  • ユニットバス
  • システムキッチン
②施主支給にあまり適さないもの
  • タイル・フローリング(材料)
  • 珪藻土(材料)
  • 現在住んでいる家の部材を移設(ドア・床柱など)
いかがでしたでしょうか?
適するものと適さないものの違いは様々な理由があります。
以下に適するものに選んだ条件を説明します。
もちろん最終的にそれが適しているかどうかはハウスメーカーや工務店に確認が必要です。
チェック
  • 設置作業が容易
  • 商品としてシンプル
  • 材料の数量調整が不要
  • 他との作業の絡みが少ない
  • 下準備が不要
  • 取り扱いが容易
  • 材料の大きさが扱いやすい
ここに挙げた内容が大まかなイメージではありますが、施主支給品として適していると判断できる要素です。

是非、参考にしてください。

施主支給を採用する時の注意点

施主支給を成功させるためには設計者や現場監督の協力がもちろん必要ですが、施主としても最低限知っておいた方が良い注意点がありますのでお伝えします。

①設計者への情報供与

まずは設計打ち合わせまでに施主支給品の仕様が分かる資料を用意しておく必要があります。

それを設計者に渡し、情報供与しておきましょう。

早い段階で渡しておけば設計者がそれに準じた配線・配管・下地補強などを計画に盛り込んでくれるはずです。

②保証・責任区分

そして保証についてもあらかじめ話し合っておくことが重要です。

例えば入居後、エアコンからドレン水が漏れてきた時、エアコンの器具が悪いのか施工が悪いのかそれによって責任の所在が大きく変わってきます

また、商品の傷や故障が運送時点より前のものなのか、取付施工をした時のものなのかはっきり分かるように届いたら必ず検品をするようにしましょう。

③納品のタイミング・保管方法の検討

商品は工事途中のタイミングのいいところで納品をしなければいけません

早めに入れてしまうと傷をつけたり紛失をしたり、作業の邪魔になってしまうからです。

もし時間指定ができるのであれば現場に直接運送させてもいいとは思いますが、それができない場合は一旦施主の自宅で商品を受け取り、後日、指定の日時に現場へ持っていく流れになります。

現場監督から指示のあるまで商品は自宅で保管をすることになります。

特に大型商品であればあるほど保管場所についてはしっかり検討し、早い段階から納期の確認と受け渡し方法は決めておきましょう

④別途用意するものはないか確認

商品の説明書にはきっちりと目を通しておきましょう

なぜなら、よく見ると一部の部品が別途となっていることがあるからです

付属していると思い込んでいたものが付属してないと、後から取り寄せることになり、職人さんの出戻り費用がかかってしまうかもしれません。

そうならないために関連部品の有無や規格の確認をしておきましょう。

⑤トータルコーディネート

設計者及びインテリアコーディネーターの関われる範疇であればデザインはトータルコーディネートされているはずです。

そこに、施主の感性のみが入った施主支給品が混ざり込むと一気にチグハグなものになってしまう場合があります。

商品を決めたら設計者やコーディネーターの意見も念のため聞いてみると良いでしょう。

まとめ

現場監督の立場から、施主支給の是非を問うと言うよりは、やるからにはハウスメーカーや工務店と一体となってきっちり満足のいくように納めて欲しいと願ってこの記事を書きました。

見方を変えれば、施工側にとっては迷惑になりかねないという背景を知った上で、施主としてのポリシーを貫くためにこれまで書いたことを踏まえておくことで、きっとうまく調整ができるはずです。

できれば、なるべく施主支給品に適したものを選ぶとか、必要最低限にするなどの配慮をしてあげてくださいね。

最後に、今回テーマにした『施主支給品』ではなく、施主が手配をする外部の施工業者を新築工事中に入れたいと考えている方もいるかもしれません。

例えばホームシアターの専門業者とか、暖炉の専門業者とか、知り合いのタイル屋に施工をさせたいとか。

外部業者を入れる際の心構えについては、いずれ記事にしたいと考えております。

それでは、最後まで読んでいただきありがとうございました。

 

 

 

 

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