解体工事 許可業者の選定と着手までに施主がやること

スポンサーリンク
解体現場家づくりの準備
この記事は約8分で読めます。
スポンサーリンク

解体工事の業者選定

建替工事をする場合は現在住んでいる建物を解体する必要があります。

皆さんは解体業者さんと契約することになりますが、今回のブログでは解体業者と契約する前に知っておくべきポイントや解体着工前の準備についてお伝えします。

知らないと皆さんが痛い目にあう場合があるので注意です。

解体工事業者を値段だけで選んではいけない

ものを壊す作業にお金なんてかけたくないと思うのは人情です。

その気持ちはとても分かります。

しかし、解体工事だけは極端に安すぎる業者は避けることをお勧めします。

どうしてもそこと契約したいのであれば、なぜ他と比べて安いのか、理由を明確に教えてもらうようにしてください。

それが納得できる内容でしたらいいのですが、本来しなくてはいけないことを排除することで安くしているのであれば、その業者とはすぐに縁を切ってください。

解体工事業者の義務

解体工事はただ単に闇雲に壊すわけではありません。

きちんと自治体に解体をすることを申請し、ルールにのっとり丁寧に解体していかなければならないのです。

まず、解体された廃棄物は「建設リサイクル法」に基づいてきちんと分別をします。

分別の種類はコンクリート、アスファルト、木くず、鉄などです。

その後は「マニュフェスト」と呼ばれる書類を利用することによって廃棄物が最終処分場まできちんと運ばれているか確認します。

今は電子マニュフェストという管理方法もあります。

そのようにやるべきことをやるために手間をかけた分、経費がかかるのは仕方ないことです。

安い業者が本当に法に従い作業をしてくれるのかって心配ではないですか?

事実、過去には解体資材を山に不法投棄をした悪徳業者がいて社会的な大問題になっていました。現在ではそのような悪徳業者は廃業に追いやられ、ほとんど存在していません。しかし、もし皆さんが発注した解体業者が悪徳業者で不法投棄をした場合、施主も罰せられる可能性もあります。皆さんの身にはそのような不幸が訪れないように細心の注意を払ってください。

解体工事アスベストの撤去

1975年以前に建設された建物や構造形態によっては人体にとって有害物質であるアスベストが建物に使われている場合があります。

現在アスベストは専門の資格を持った人しか撤去できない決まりになっています。

それを知らずに解体工事をしてしまえば近所にアスベストを飛散させることになり大問題になります。

アスベストの有無を事前に調査してくれるのか、見積りに調査費用が盛り込まれているのかなどを選定する業者に聞いてひとつの判断基準にしましょう。

解体工事業者で処分できないもの

建設リサイクル法で定められていて処分できるものと処分できないものがあります。

以下が代表的な処分できないものです。

家庭ゴミ

  • 衣類
  • 化学薬品・農薬
  • 食器
  • 雑誌
  • タイヤ
  • 陶器    など

家電リサイクル法に該当するもの

  • テレビ
  • エアコン
  • 冷蔵庫
  • 洗濯機   など

家電リサイクル法に関係するものは近くの家電屋さんで処分できますし、家庭ゴミは解体工事の着工までに計画的に自治体の粗大ゴミ回収を利用して地道に処分していきましょう。

この法律はどんどん厳しくなっていて、現在は蛍光灯も建物として処分してはいけないと言われるようになりました。つまり施主がきちんと照明器具の蛍光灯を取り外した状態で解体工事をやってもらわなければいけないのです。

解体工事にかかる前に皆さんがやっておかなければならないことはたくさんあるということが理解できましたでしょうか。

仏壇などの処分

仏壇・遺影・人形の処分

これはリサイクル法に関わる部分ではないのですが、仏壇や遺影やお人形等は魂が宿っているものと考えるので解体屋さんが処分するのを嫌がります。

人形はお寺などで人形供養がある場合はそこで処分をしてもらってください。

遺影も同様でどのように処分するのがいいのかをお寺さんに聞いて施主が処分するようにしましょう。

 

仏壇の精抜き(しょうぬき)

仏壇を移動する場合、精抜きを行います。

精抜きとは、仏壇からいったんご先祖の魂を抜きとるためにお経を上げてもらい空っぽの状態にします。

その後、仏壇屋さんなどに依頼し空っぽの仏壇を引き上げてしてもらうのが一般的です。

新築に移設する計画の場合は、清掃してもらい新築が出来上がるまで保管をしてもらいます。

新築が完成したら仏壇屋さんに依頼し、新しい仏間に運び入れてもらいます。

その際には精入れ(しょういれ)といってご先祖様たちをそこに戻すお経を上げてもらう必要があります。

補足ですが仏壇の移設にはかなりの額の費用がかかるそうです。仏壇の清掃費や保管・運送料、お坊さんの手配などで高級車一台買えるくらいのお金が掛かったとお客さんに聞いたことがあります。予算計画として無視出来ない部分になりますので注意してください。

設備関係の切り離しなど

電力線・電話回線や光回線

解体する前に、建物に入線されているものを外す手配を今までの契約者である皆さんがやらなければいけません

管轄の会社に電話で依頼をする際、必ず「解体工事をするので」という言葉を付け加えて依頼をするようにしましょう。

ガス管

敷地の道路際で切断を依頼しましょう。

理由は敷地内の地中にガス配管があると、新築工事で掘削した時に当ててしまいガス漏れ事故につながる可能性があるからです。

 

水道

解体をする際、水かけをして埃の飛散を防止するので使うのでそのままにしておけば良いです。

なので解体業者には、水道代の請求が皆さんのところにいかないように、使用する名義だけを皆さんから業者の名前に変更するように依頼してください。

浄化槽

浄化槽が設置されている地域に関しては、浄化槽内の汚物を全て撤去し空っぽにしておかなければなりません。

浄化槽を使われている皆さんは現在契約をしている維持管理業者さんに汲み取り依頼をしましょう。

敷地内に残すもの

植栽

植栽を残したいもしくは保管場所に植替えて欲しいという方がいます。

植栽を移植するのは専門業者でしかできません。

解体業者で適当に穴を掘って植え替えれば、新築工事中に枯れ果ててしまう可能性が高いのです。

また植栽を一時的に移動しておく場所があればまだ良いのですが敷地内の限られたスペースに移そうとすると工事の邪魔になってしまう場合があります。

どうしても植栽を残す場合は新築計画・外構計画と照らし合わせながら現場監督と綿密に打ち合わせをしましょう。

庭石・灯籠

庭石や灯籠は石専門の業者さんの技術を持ってしかきちんと設置ができません。

解体工事の時に適当な位置に移動だけしておくなどすれば、後に設置する際、移動距離が長くなり石屋さんが大変な苦労をすることになります。

建物工事範囲に置かれてしまうと庭石が邪魔で工事が進まなくなることがあります。

新築で使いたいという場合は現場監督と綿密に協議しなければいけません。

ここで述べたように植栽・庭石・灯籠などはそれぞれ専門業者がいて費用が別途かかる話になってきます。

皆さんのそれらに対する思い入れの度合いがわからないので、私が残すべきかどうかの判断をすることはできません。

しかしトラブルや余計な費用がかかることだけを判断基準にするならば、極力何も残さず更地にするのがいいのではないでしょうか。

思い出の資材の移設について

例えば現在の和室に使われている床柱を、新築の和室の床柱に使用できないかと相談を受ける事があります。

簡単なようで実はなかなか難しい要求なんです。

移設が難しい理由を挙げます。

  • 取り外す費用、保管する費用、加工する費用がかかる。
  • そもそも現在住んでいる家と新築を比べると天井高さや基準となる寸法が違うため、そのままその床柱を使用することができない。
  • 日焼けの度合いが新築の木材と全く違うので、部屋の質感となじまず出来上がってみたら床柱だけが浮いて見えたりすることがある。

残す場合の他のアイデアがあります。

  • その1部を切り取ってどこかの壁に貼ってもらう。
  • 違う用途の家具などに加工してもらう。

例にあげた床柱だけでなく、建具の扉、天井板、玄関框、床板などについても同様です。

どうしても残したい思い出の資材がある場合は、新築の計画の段階から重要事項の1つとしてきっちりと計画をしていきましょう。

まだ使える設備の移設について

現在の建物に据え付けられていて、まだそんなに古くなっておらず処分するのがもったいないという理由で新築に移設を検討している設備をお持ちの方がいます。

例えば照明器具やエアコンであればそれを保管しておく場所さえ確保すれば移設は可能と考えていいと思います。

ただしハウスメーカーには保管する場所がないので、皆さんの仮住まいの部屋か、もしくはレンタル倉庫を借り保管することになります。

解体工事前のお祓い

地鎮祭と同様、解体工事の前には建物に感謝の気持ちを込めてお祓いをする風習があります。

私の経験上、大体2割くらいの方が解体前のお祓いをされるのではないでしょうか。

費用は地鎮祭と同様で地域にもよると思いますが3万円のところが多いです。

ただし、家のお祓いと合わせて井戸や池、大きな木のお祓いなどを追加で依頼するとそれに応じて金額が上がる可能性もありますので事前に確認しましょう。

依頼する神社さんは地鎮祭と同じ神社さんでやるのが普通なので地鎮祭をハウスメーカー経由で依頼をするのであれば同様に手配してもらうといいです。

解体工事のまとめ

今回は解体工事の業者選定と背景、解体工事前に皆さんが準備しておかなければならないことなどをお話ししてきましたがお役に立てたでしょうか?

解体工事着工までの期間は余裕を持って計画的に断捨離をする期間として使うようにしてください。

コメント